〒135-0033 東京都江東区深川1丁目1番2号 協和ビル2階18
受付時間 | 10:00~18:00 ※土曜・日曜・祝日を除く |
|---|
アクセス | 東京メトロ東西線 都営大江戸線 門前仲町駅 6番出口より徒歩3分 |
|---|
平成15年4月に公表された「養育費・婚姻費用算定表」の運用開始後3年が経過した際に、実務上の課題や問題点に対して、東京家庭裁判所の家事部裁判官の研究会における議論を踏まえた基本的な取扱いとして紹介された「養育費・婚姻費用算定表の運用上の諸問題」(東京家庭裁判所判事・岡健太郎執筆、判例タイムズ1209号)についてご紹介します。
1. 算定表の基本的な考え方と前提
養育費は、民法766条1項が定める「子の監護に必要な事項」として未成熟子の養育に要する費用であり、婚姻費用は民法760条に基づく夫婦共同生活の維持に必要な費用です。これらは、自己の生活を保持するのと同程度の生活を被扶養者にも保持させる「生活保持義務」に位置づけられ、生活保護等の「生活扶助義務」とは区別されます。
従来の算定実務では、同居していたと仮定した場合の子の生活費を算出し、それを双方の収入割合で按分する方式がとられていましたが、公租公課や特別経費を実額で認定しようとするため、主張や資料の応酬を招き審理が長期化するという問題がありました。 これに対し現在の算定表は、迅速化を図るため、以下の標準化が行われています。
(1)基礎収入の算出
総収入から、統計資料に基づき推計された標準的な割合による公租公課、職業費、特別経費を差し引いて「基礎収入」を定めます(給与所得者で総収入の34〜42%、自営業者で47〜52%)。
(2)生活費指数の導入
親を100とした場合、14歳以下の子は55、15〜19歳の子は90という標準的な生活費指数を用いて、簡易に按分計算を行います。
※現時点では、14歳以下の子につき「62」、15歳以上の子につき「85」に修正されています。以降は当時の生活指数を記載しています。
2. 総収入の認定に関する実務上の課題
算定表の横軸・縦軸に当てはめる「総収入」を正確に認定する際、特に自営業者等の場合においていくつかの調整が必要となります。
(1) 自営業者の確定申告書に基づく総収入の認定
確定申告書の「課税される所得金額」をそのまま総収入とすることは適当ではありません。税法上控除されていても、現実に支出されていない費用や、養育費等に優先すべきではない控除項目は「課税される所得金額」に加算して総収入を認定する必要があります。
ア 加算すべき控除項目
雑控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、障害者控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除、青色申告特別控除など。また、現実に支払われていない専従者給与額も加算対象です。
イ 原則加算するが例外もある項目
医療費控除、生命保険料控除、損害保険料控除などは標準的な額が既に考慮されているため原則加算しますが、特別経費として考慮すべき著しい不公平が生じる特別事情がある場合は別途考慮します。
ウ 加算すべき項目
小規模企業共済等掛金控除、寄付金控除は養育費等に優先しないため加算します。
(2) 減価償却費の取扱い
減価償却費は税法上の必要経費ですが、当該年度における具体的な支出を伴わないため、そのまま控除することが問題となります。 実務上の基本スタンスとしては、適正な減価償却費であれば各年度の必要経費として控除した上で総収入を認定し、算定表を適用してよいとされています(この場合、事業用資産取得のための負債返済は特別経費として認めません)。ただし、減価償却費をそのまま控除するのが疑問な場合には、減価償却費自体は控除せずに所得金額に加算し、別途実際の負債返済額(経費扱いされていない元本部分等)を特別経費として控除して総収入を認定する手法も妥当とされています。
(3) 事業所得と給与所得の双方が混在する場合
算定表は給与所得者と自営業者で基礎収入割合が異なるため、一方が給与所得、もう一方が事業所得のケースでは、一方の所得を他方に換算して合算し、算定表を利用します。例えば、事業所得500万円は概ね給与所得700万円に換算されるため、給与所得1000万円と合算して1700万円の給与所得者として算定表を適用する、といった方法が考えられます。
3. 算定表にないタイプの事案の計算方法
算定表は子3人までを標準として作成されているため、表の枠外となる事案については、算定表の基礎となっている考え方を用いて計算します。
(1) 子が4人以上の場合の養育費
以下の2つの計算方法が提示されています。
ア A方式(基礎収入と生活費指数を用いる方法)
義務者・権利者の総収入から標準的な割合(例:40%)を用いて基礎収入を算出します。その後、各人の標準的な生活費指数を用いて子の生活費全体を算出し、これを双方の基礎収入で按分します。
計算例(義務者年収800万、権利者年収200万、14歳以下の子4人): 義務者基礎収入320万、権利者基礎収入80万。子の生活費は 320万円 × (55×4) / (100+55+55+55+55) ≒ 220万円。これを按分すると義務者の支払額は 220万円 × [320万 / (320万+80万)] ÷ 12ヶ月 ≒ 月額約14.7万円 となります。
イ B方式(算定表結果に分配倍率を乗じる方法)
子1人の算定表の金額に、子4人の生活費指数の割合を掛けて簡易に算出します。
(2) 義務者も子を監護している場合
ア 養育費
算定表上で権利者が監護する子に対する負担額を算定した後、義務者が監護する子の負担割合相当額を控除するなどの方法で計算します。
イ 婚姻費用
義務者と同居する子の生活費指数を義務者の世帯に含めて計算します。例えば、義務者が子1人、権利者が子1人を監護している場合、義務者世帯の指数は(100+55)、権利者世帯は(100+55)として全体を按分し、婚姻費用を算出します。
(3) 義務者が再婚した場合
義務者が再婚相手に対して扶養義務を負うことを考慮します。なお、再婚相手に相当額の収入があれば考慮する必要はない。
ア A方式
基礎収入と生活費指数を直接用いる方法。再婚相手の指数55を分母に加えて計算します。
イ B方式
算定表に基づく簡易な方法。再婚相手を「子」と同視し、例えば子1人の事案であれば「子2人の算定表」の結果の2分の1とするなどして目安とします。
再婚相手との間に子ができた場合も同様に指数を加算して計算します。また、再婚相手に少額の収入がある場合は、双方の収入を合算して義務者の収入として、ア又はイの方法で計算する。
(4) 義務者の収入が算定表の上限(給与2000万、自営1400万)を超える場合
① 養育費
上限を超える高額所得者であっても、基本的には算定表の上限額で子の生活費としては十分に足りると考えられます。ただし、私立学校の学費等の不足額を加算すべき事情があるか等、個別事情を考慮して増額を検討します。
② 婚姻費用
婚姻費用は生活費の分担であり、従前の贅沢な生活をそのまま保障するものではないため、原則として算定表の上限額で足りるとされ、特別な事情がない限りこれを超えることは想定されません。
4. 特別事情(住宅ローンと私立学校学費)の検討を要する事案
算定表の枠内で標準化されている費用を超過する特別な支出がある場合の調整方法です。
(1) 住宅ローン
算定表には標準的な住居関係費が考慮されていますが、現実の住宅ローン支払額がそれを大きく上回る場合、義務者が権利者の住居のローンを支払いながら自身の家賃も支払うという「住居関係費の二重払い」が生じることがあります。
①養育費の場合
離婚に伴う財産分与で清算されるべき性質のものであるため、基本的には養育費の算定において住宅ローンを考慮する必要はありません。未清算のまま支払いを継続している場合は、夫婦共同の債務を弁済しているものとして調整されることがあります。
②婚姻費用の場合
権利者がローン対象の家に居住している場合、考慮が必要です。ただし、全額を控除すると権利者の生活費が極端に少なくなること、ローン支払いには資産形成の側面があることから、以下の計算方法が提示されています。
ア A方式(特別経費として控除)
ローン支払額から、算定表で既に考慮されている標準的な住居関係費を差し引いた額を限度として、義務者の総収入から特別経費として控除し、再計算します。
イ B方式(算定表結果から直接控除)
算定表で求めた婚姻費用から、一定割合(例えばローン月額の2割など)や権利者世帯の住居費相当額を直接控除します。 最終的には、義務者の負債返済は子の扶養義務に優先しないという原則を踏まえ、双方に著しい不公平が生じないよう個別事案ごとに控除額が判断されます。
(2) 私立学校の学費等
算定表は公立中学校・公立高等学校の学校教育費のみを考慮しています。義務者が私立進学を承諾している場合や、収入状況から負担させるのが相当と認められる場合、公立学校の費用を超える不足分を加算する必要があります。
ア A方式(公立学校教育費相当額を控除する方法)
実際の私立学費から、算定表に考慮されている公立学費相当額を差し引いた額を「不足額」とし、これを義務者と権利者の基礎収入の割合で按分して、算定表の金額に加算します。
イ B方式(生活費指数のうち教育費の占める割合を用いる方法)
14歳以下の子の生活費指数55のうち、教育費に該当する割合(約13)等を基に、算定表で義務者が既に負担している教育費相当分を計算します。この額を実際の私立学費の義務者按分額から差し引いて、純粋な不足額を加算します。 実務上は、大まかなA方式による計算で足りることが多いとされています。
こんなお困りごとございませんか?
・「財産分与で不動産や株式が含まれているが、どのように分けるのが適切なのかわからない」
・「結婚前の預貯金や親からの贈与も財産分与の対象になるのか」
・「離婚手続きを進めたいが、弁護士費用が高額で支払えるか不安」
・「離婚の話し合いが感情的になってしまい、冷静に進められない」
・「平日は仕事で忙しく、夜間や土日でないと相談に行けない」
離婚問題は複雑な財産分与から感情面での配慮まで、幅広い対応が必要です。
当事務所は,依頼者のお悩みにしっかりと耳を傾け,納得のいく解決まで一緒に歩んでまいりますので、まずはお気軽にご相談ください。
法テラスの資力基準を満たされる方は、初回の法律相談は30分無料です。
事前にご連絡いただければ,土日祝日やお仕事が終わった後の夕方の相談もお受けしておりますので,まずはお気軽にお問い合わせください。
お電話でのお問合せ・相談予約
<受付時間>
10:00~18:00
※土曜・日曜・祝日は除く
フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。
〒135-0033 東京都江東区深川1丁目1番2号 協和ビル2階18
東京メトロ東西線 都営大江戸線
前仲町駅 6番出口より徒歩3分
駐車場:なし
10:00~18:00
土曜・日曜・祝日