〒135-0033 東京都江東区深川1丁目1番2号 協和ビル2階18
受付時間 | 10:00~18:00 ※土曜・日曜・祝日を除く |
|---|
アクセス | 東京メトロ東西線 都営大江戸線 門前仲町駅 6番出口より徒歩3分 |
|---|
別居後の生活設計、経済的な不安で一歩を踏み出せずにいませんか?
離婚という大きな決断を前に、あるいは夫婦関係が悪化し、やむを得ず別居に至ったとき、多くの方が直面するのが「別居中の生活費」という切実な問題です。特に、これまで相手方の収入を主として生活してこられた方にとって、経済的な見通しが立たないことは、離婚という大きな決断を躊躇させ、不本意な状況を甘受し続ける原因となりかねません。
しかし、法律は、あなたの生活を守るための制度を用意しています。それが「婚姻費用」です。婚姻費用とは、離婚が成立するまでの間、夫婦が互いに自分と同じ水準の生活を保障するために分担すべき費用であり、収入の多い方が少ない方へ支払う法的な義務です。
本稿では、江東区門前仲町に事務所を構える福永法律事務所の弁護士が、この婚姻費用という、あなたの生活と権利を守るための重要な制度について、その法的根拠から裁判所での算定実務、そして特に争点となりやすい論点までを徹底的に解説します。
1. 根拠は民法に定められた「生活保持義務」
婚姻費用の支払義務は、民法第760条に定められた夫婦の「協力扶助義務」に基づいています 。
(婚姻費用の分担)
第七百六十条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
この義務は、単なる努力目標ではなく、法的に「生活保持義務」という非常に強いレベルの義務と解されています。これは、「自分が贅沢をできなくても、相手に自分と同じ水準の生活をさせる義務」を意味し、親が未成年の子を扶養する義務と同レベルの、最も重い扶養義務です。
重要なのは、この義務は法的に離婚が成立するまで、または同居を再開するまで続くという点です。たとえ別居していても、法的に夫婦である限り、収入の多い側は少ない側に対して生活を支える義務を負い続けます。したがって、婚姻費用を請求することは、法律に裏付けられたあなたの揺るぎない権利なのです。
2. 婚姻費用に含まれるもの
婚姻費用には、夫婦と未成熟の子が、その社会的地位や収入に応じて、通常の社会生活を維持するために必要な費用が広く含まれます。具体的には、衣食住の費用、医療費、交際費、そして子どもがいる場合にはその監護費用(学費、習い事の費用など)が中心となります。
3. 別居の原因(有責性)は考慮されるか
実務上、しばしば「不貞行為をして家を出た側からでも婚姻費用を請求できるのか」という点が争われます。
これについて裁判所の考え方は、別居や婚姻関係破綻の原因が、専ら又は主として権利者(請求する側)にある場合、権利者自身の生活費分については、信義則に反するとして請求が制限されることがある、というものです 。ただし、その場合であっても、子どもを監護している限り、子の養育費に相当する分については、親の有責性とは無関係に請求することが認められます。
1. 請求の始期(いつから):原則は「請求した時」
婚姻費用の請求において最も重要な点の一つが、支払いを受けられるようになる「始期」です。多くの裁判例では、婚姻費用は「請求の意思を明確に示した時」からとされています 。
「別居時に遡って請求できる」と誤解されがちですが、権利を行使せずに放置していた期間分を後からまとめて請求することは、原則として認められません。そのため、行動をためらう一日一日が、あなたにとって金銭的な損失に繋がっているのです。
法的に最も明確で争いが生じにくい「請求した時」とは、以下の時点を指します。
別居を開始したら、あるいは別居を決意したら、可能な限り速やかに、明確な形で請求することが、ご自身の権利を最大限に守るための鉄則です。
2. 請求の終期(いつまで):原則は「離婚成立」または「同居再開」
婚姻費用の支払義務は、離婚が成立した時、または別居を解消して同居を再開した時まで続きます。離婚協議が長引いたとしても、その間、あなたは生活費の保障を受ける権利があります。これは、経済的な不安なく、腰を据えて離婚協議に臨むための重要な基盤となります。
1. 裁判所の「養育費・婚姻費用算定表」
現在、全国の家庭裁判所では、婚姻費用の金額を簡易・迅速に算定するため、「標準算定方式」という考え方に基づいた「養育費・婚姻費用算定表」が広く活用されています 。これは、以下の要素を基に、統計的に標準的な生活費を算出するものです。
調停や審判においても、基本的にはこの算定表が基準として用いられるため、相手方と交渉する前に、ご自身のケースでの目安額を把握しておくことが極めて重要です。
2. 収入の認定方法
算定の基礎となる「総収入」の捉え方は、給与所得者か自営業者かで異なります。
算定表だけでは決まらない実務上の重要論点
算定表はあくまで標準的なケースを想定しています。そのため、以下のような特別な事情がある場合は、算定表の金額をベースとしつつ、個別の調整が必要となります。
1. 住宅ローンの支払い
義務者(支払う側)が家を出て、権利者(受け取る側)と子どもが住む家の住宅ローンを支払い続けている場合、義務者は自身の住居費と権利者側の住居費を二重に負担していることになります。
この場合、算定表で算出された婚姻費用の額が満額認められると、義務者の負担が過大になるため、実務では調整がなされます。具体的には、算出された婚姻費用の額から、住宅ローン支払額の一部(全額ではないことが多い)を控除するなどの方法がとられます。これは、住宅ローンの支払いには資産形成の側面もあるためです。
2. 私立学校の学費
算定表は、公立学校の学費を基準としています。そのため、子どもが私立学校に通っている場合、その学費は別途考慮される必要があります。
義務者が私立学校への進学を承諾していた場合や、夫婦の収入・学歴などからみて私立学校への進学が相当と認められる場合には、算定表の金額に加えて、学費の不足分を双方の収入に応じて按分した額が加算されることがあります。
3. 高額所得者の場合
算定表は、給与所得者で年収2,000万円、自営業者で年収1,567万円程度を上限として作成されています。これを超える高額所得者の場合、算定表の考え方をそのまま延長して適用すると、非現実的な高額な婚姻費用が算出される可能性があります。
高額所得者の場合、収入の全てが生活費に充てられるわけではなく、貯蓄や資産形成に回る割合が高いのが実情です。そのため、算定表の上限額を一つの目安としつつ、これまでの具体的な生活実態(生活費の支出状況)などを考慮して、個別具体的に金額が決定されます。
請求のための具体的な手続きと流れ
婚姻費用を請求する手続きは、段階的に進めるのが一般的です。
| 手続きの種類 | 特徴と弁護士の役割 |
| 協議(話し合い) | 夫婦間の合意を目指す最初のステップです。弁護士は、算定表に基づき適正額を算出し、相手方と交渉します。合意内容は、将来の不払いに備え、強制執行力を持つ公正証書として作成することを強く推奨します。 |
| 婚姻費用分担請求調停 | 協議が不調の場合、家庭裁判所で調停委員を介して話し合います。弁護士は、依頼者の代理人として、法的根拠に基づき主張を論理的に伝え、調停委員を味方につけ、有利な調停成立を目指します。 |
| 審判 | 調停でも合意に至らない場合、手続きは自動的に「審判」に移行します。裁判官が、双方から提出された資料や主張に基づき、支払うべき婚姻費用の額を法的に決定します。 |
婚姻費用でお困りの方は江東区門前仲町福永法律事務所にご相談ください
婚姻費用は、離婚に向けた厳しい時期のあなたと、そしてお子様の生活を守るための、法律で認められた極めて重要な権利です。しかし、その算定は、本稿で解説したように、単純な計算だけでは終わらない専門的な論点を数多く含みます。
相手が収入を正確に開示しない、特殊な事情があって算定が難しい、あるいは感情的な対立から話し合いが進まないといった場合には、一人で抱え込まず、専門家である弁護士にご相談ください。
福永法律事務所は、江東区門前仲町に拠点を置き、これまで江東区やその周辺地域の皆様の離婚問題に真摯に向き合ってまいりました。あなたの正当な権利を守り、新たな一歩を踏み出すために、親身にサポートさせていただきます。法テラスがご利用できる方は,初回のご相談は無料でお受けしておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。
こんなお困りごとございませんか?
・「財産分与で不動産や株式が含まれているが、どのように分けるのが適切なのかわからない」
・「結婚前の預貯金や親からの贈与も財産分与の対象になるのか」
・「離婚手続きを進めたいが、弁護士費用が高額で支払えるか不安」
・「離婚の話し合いが感情的になってしまい、冷静に進められない」
・「平日は仕事で忙しく、夜間や土日でないと相談に行けない」
離婚問題は複雑な財産分与から感情面での配慮まで、幅広い対応が必要です。
当事務所は,依頼者のお悩みにしっかりと耳を傾け,納得のいく解決まで一緒に歩んでまいりますので、まずはお気軽にご相談ください。
法テラスの資力基準を満たされる方は,、初回の法律相談は30分無料です。
事前にご連絡いただければ,土日祝日やお仕事が終わった後の夕方の相談もお受けしておりますので,まずはお気軽にお問い合わせください。
お電話でのお問合せ・相談予約
<受付時間>
10:00~18:00
※土曜・日曜・祝日は除く
フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。
〒135-0033 東京都江東区深川1丁目1番2号 協和ビル2階18
東京メトロ東西線 都営大江戸線
前仲町駅 6番出口より徒歩3分
駐車場:なし
10:00~18:00
土曜・日曜・祝日