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【門前仲町 弁護士による徹底解説】評価損・代車費用など、交通事故の「車両損害」を巡る全論点

【門前仲町 弁護士解説】「修理費だけ」では済まない!評価損・代車費用など、交通事故の「車両損害」を巡る全論点

福永法律事務所(門前仲町) 弁護士福永悦史執筆

はじめに:物損事故の示談、保険会社の提示額に隠された「争点」

交通事故に遭われた際、幸いにもお怪我がなかった、あるいは軽傷で済んだとしても、「愛車が傷ついてしまった」という物的損害(物損)は、被害者にとって大きな経済的・精神的負担となります。

事故後、加害者側の保険会社から修理費の見積もりが提示され、示談交渉が始まります。多くの方は、「提示された修理費が支払われれば、それで損害は全て回復される」と考えがちです。しかし、本当にそうでしょうか?

「修理はしたが、事故歴がついたことで車の価値が下がってしまった」 「修理期間中に車が使えず、レンタカーを借りた費用は全額補償されるのか?」 「営業用のトラックが使えず、仕事に大きな支障が出た

実は、車両損害に関する賠償の範囲は、単なる修理費だけにとどまりません。保険会社が当初の交渉ではなかなか認めようとしない「評価損(格落ち損)」や「代車費用」「休車損」といった損害も、法的には正当な賠償の対象となり得るのです。

本稿では、門前仲町で交通事故案件を手掛ける福永法律事務所の弁護士が、この「車両損害」を巡る法律上の重要な争点について、裁判所の実務運用を踏まえて解説します。

賠償の基本 — 修理費の範囲と「経済的全損」

車両損害の賠償における最も基本的な項目は、事故によって損傷した車両を原状回復させるための修理費です。しかし、その賠償範囲をめぐっては、しばしば「経済的全損」という概念が大きな争点となります。

1. 相当な修理費の範囲

加害者が賠償すべき修理費は、事故と相当因果関係のある損傷部分を、社会通念上相当な方法・範囲で修理するために必要な費用です。過剰な修理や、事故とは無関係な箇所の修理費用まで請求することはできません。

2. 「経済的全損」とは何か

問題となるのは、修理費用が、事故直前の車両の価値(時価額)を上回ってしまうケースです。このような状態を「経済的全損」と呼びます。

例えば、事故直前の時価額が50万円の車に対し、修理費用が80万円かかると見積もられた場合がこれにあたります。

この場合、被害者としては「愛着のある車だから80万円かけてでも修理したい」と考えるかもしれません。しかし、裁判例・実務では、このような経済的全損の状態においては、賠償額は原則として事故直前の車両の時価額に、買替諸費用を加えた金額が上限とされます。つまり、上記の例では、原則として50万円+αの賠償しか認められず、80万円の修理費全額を加害者に負担させることはできません。これは、損害賠償制度が、被害者に事故前の状態以上の利益を与えることを目的としていないためです。

3. 争点となる「車両時価額」の算定

経済的全損の判断基準となる「車両時価額」は、保険会社との交渉で最も争いになりやすいポイントの一つです。時価額の算定には、主に以下のような資料が参考にされます。

  • オートガイド自動車価格月報(通称:レッドブック):中古車査定の基準として広く利用されています。
  • 中古車市場における同車種・同年式・同程度の走行距離の車両の販売価格
  • 減価償却の計算

保険会社が低い時価額を提示してきて、修理費がこれを上回るとして「経済的全損」を主張してくるケースは少なくありません。しかし、その提示額が必ずしも客観的な時価額を反映しているとは限りません。弁護士が介入し、中古車市場の客観的なデータを基に反論することで、より適正な時価額を前提とした賠償交渉が可能となります。

修理しても残る損害 —「評価損(格落ち損)」は請求できるか

たとえ車両が綺麗に修理されたとしても、「事故歴(修復歴)がある車」として扱われることで、将来売却する際の査定額が下がってしまうことがあります。この修理によっても回復できない価値の下落分を「評価損(格落ち損)」といいます。

1. 保険会社との交渉における評価損

評価損は、その損害の発生や金額の算定が客観的に難しいことから、加害者側の保険会社は、示談交渉の段階では「評価損は認められない」という姿勢を頑なにとることがほとんどです。

2. 裁判所はどのような場合に評価損を認めるか

保険会社が認めなくとも、裁判所は一定の要件を満たす場合に評価損を損害として認める傾向にあります。裁判官の論文や裁判例を分析すると、裁判所が評価損を認めるか否かを判断する際に、主に以下の要素を総合的に考慮していることがわかります。

  • 車種: 高級外車や、国産車の中でも人気のある高級車・スポーツカーなど、中古車市場での価値が高い車種であるほど、評価損は認められやすい傾向にあります。
  • 初年度登録からの期間と走行距離: 新車に近い、登録からの期間が短い車両や、走行距離が少ない車両ほど、事故による価値の下落は大きいと評価され、認められやすくなります。一般的には、初年度登録から3年〜5年程度が一つの目安とされますが、これを越えても認められるケースはあります。
  • 損傷の部位・程度: これが最も重要な要素です。ドアやバンパーの擦り傷といった表層的な損傷の修理だけでは、評価損は認められにくいです。認められるのは、自動車の骨格部分(フレーム、クロスメンバー、ピラーなど)に歪みや損傷が生じ、その修復が行われたケースです。骨格部分の修復歴は、車両の安全性や走行性能への信頼を損ない、中古車市場での価値を大きく下落させるためです。

3. 評価損の算定方法

評価損の算定について、確立された唯一の計算式はありません。裁判実務では、修理費用の一定割合(例えば10%30%程度)を評価損として認めるケースが多く見られます。この割合は、前述した車種や損傷の程度などの要素を考慮して、個別の事案ごとに裁判官の裁量で判断されます。

評価損の請求は専門的な主張と立証を要するため、弁護士に相談し、過去の裁判例などを踏まえて適切な請求を行うことが重要です。

車が使えない期間の補償 —「代車費用」と「休車損」

事故によって車が損傷し、修理や買い替えのために一定期間車が使えなくなること自体も、法的には賠償の対象となる損害です。

1. 代車費用

修理期間中などにレンタカーなどを借りた場合、その費用(代車費用)を請求することができます。しかし、その請求が認められるためには、いくつかの要件があります。

  • 代車の必要性: 代車を借りる必要性があったことを被害者側が主張・立証する必要があります。例えば、「通勤で毎日車を使っていた」「家族の送迎や日常の買い物に不可欠だった」といった具体的な事情です。単に車を所有していたというだけでは、必要性が認められない場合もあります。
  • 相当な代車期間: 代車費用が認められるのは、修理または買い替えに社会通念上相当な期間に限られます。被害者の都合で不当に修理を遅らせた場合や、不必要な長期間にわたって代車を借りていた場合、その全期間分の費用が認められないことがあります。保険会社との間で、修理期間の相当性をめぐって争いになることは少なくありません。
  • 代車のグレードの相当性: 借りる代車のグレードも、原則として被害車両と同程度のクラスのものに限られます。例えば、国産のコンパクトカーが被害に遭ったのに、高級外車を代車として借りた場合、その差額分は自己負担となる可能性が高いです。

2. 休車損

被害車両がトラック、タクシー、バスなどの営業用車両であった場合、その車両が使えなかったことによって生じた営業上の損失を「休車損」として請求することができます。

  • 休車損の算定方法: 休車損は、事故がなければその車両で得られたであろう利益(売上から、ガソリン代や高速代などの変動経費を差し引いたもの)を基に計算されます。 休車損 = (1日あたりの平均売上変動経費) × 休車日数
  • 「遊休車」の存在: 休車損の請求において、加害者側から「遊休車(他に稼働できる予備の車両)があったのではないか」という反論がなされることがあります。もし、事故車両の代わりに稼働させることができた遊休車が存在した場合、営業上の損害は発生していないとして、休車損が認められない可能性があります。そのため、請求する側は、代替できる車両がなかったことを主張・立証する必要があります。

適正な賠償を得るために

車両損害をめぐる賠償交渉は、専門的な知識と交渉力がなければ、保険会社のペースで進められ、被害者が本来受け取れるはずの正当な賠償を受けられないまま示談に至ってしまうケースが後を絶ちません。

保険会社が提示する金額は、あくまで彼らの社内基準に基づいた「最初の提案」に過ぎません。その提示額が、裁判所が用いる法的基準(裁判所基準)に照らして適正なものかどうかを判断し、不足があれば法的根拠に基づいて増額を求めていくことが重要です。

特に、経済的全損における時価額の算定、評価損の請求、代車期間の相当性といった争点は、法律の専門家である弁護士でなければ、保険会社と対等に交渉することは困難です。

門前仲町の福永法律事務所では、交通事故の物損事故に関する豊富な経験と専門知識を有しております。裁判官の論文や最新の裁判例を常に分析し、ご依頼者様の状況に応じた最善の解決策をご提案いたします。保険会社との煩雑な交渉はすべて弁護士が代行し、あなたの精神的負担を軽減するとともに、適正な賠見額の獲得を目指して尽力いたします。

交通事故の物損でお困りの方は、示談書にサインをしてしまう前に、ぜひ一度、当事務所の弁護士にご相談ください。初回のご相談は無料です。

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