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【門前仲町 弁護士解説】配偶者からの暴力(DV)・モラハラから逃れたいあなたへ ― 命と暮らしを守る「保護命令」とは
はじめに:それは「あなたのせい」ではない
「配偶者からの暴言や無視に、心が壊れてしまいそうだ」 「殴られたり、物を投げつけられたりする恐怖で、毎日怯えながら生活している」 「離婚したいが、相手からの報復が怖くて、一歩も踏み出すことができない」
家庭という最も安全であるはずの場所で、最も信頼すべきパートナーから受ける身体的・精神的な暴力は、被害者の心と身体を深く傷つけ、尊厳を奪います。そして、長期間にわたる支配関係の中で、「自分が悪いからだ」「我慢すればいつか終わる」と、ご自身を責めてしまう方は少なくありません。
しかし、断言します。いかなる理由があっても、暴力は決して正当化されません。それはあなたのせいでは決してありません。
そして、その恐怖から逃れ、ご自身の命と平穏な暮らしを取り戻すための強力な法的手段が存在することを知ってください。それが、DV防止法に基づく「保護命令」制度です。
本稿では、門前仲町で離婚・男女問題に取り組む福永法律事務所の弁護士が、この「保護命令」という、あなたの安全を確保するための極めて重要な制度について、令和5年の法改正による最新の運用も含め、その内容と手続きを徹底的に解説いたします。
DV・モラハラとは何か?— 暴力の形態
「DV(ドメスティック・バイオレンス)」と聞くと、殴る・蹴るといった身体的暴力を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、DV防止法が対象とする暴力は、それだけにとどまりません。
これらの暴力は、単独ではなく、複合的に行われることがほとんどです。そして、その本質は、力(腕力、経済力、社会的地位など)の差を利用して、相手を支配し、コントロールすることにあります。
【命を守る盾】「保護命令」制度の全体像
保護命令とは、①配偶者等から暴力や脅迫を受け、②更なる暴力や脅迫により重大な危害を受けるおそれが大きい場合に、被害者の申立てに基づき、裁判所が加害者に対して発令する命令です。この命令に違反した場合、加害者は「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」という刑事罰の対象となり、極めて強力な実効性を持ちます。
保護命令には、被害者の状況に応じて、いくつかの種類があります。
1. 接近禁止命令
これが保護命令の中心となるものです。裁判所は、加害者に対し、1年間(改正法により、従来の6ヶ月から伸長)、以下の行為を禁止します。
2. 電話等禁止命令
接近禁止命令と同時に発令されることがほとんどです。加害者に対し、1年間、以下の行為を禁止します。
3. 子への接近禁止命令,電話等禁止命令
加害者が子どもに会うことを口実として被害者のもとへ押しかけるなど、被害者がその同居している子に関して加害者と面会することを余儀なくされる事態を防ぐ必要がある場合に発令されます。期間は同様に1年間です。
4. 親族等への接近禁止命令
加害者が、被害者の実家などに押しかけ、暴れるなどして、親族等の身辺に危害が加えられることによって、被害者が加害者からの要求に応じざるを得なくなる事態を防ぐ必要がある場合に発令されます。期間は同様に1年間です。
5. 退去等命令
被害者と加害者が同居している場合に、被害者が避難し、新たな生活の準備をする時間的猶予を与えるため、加害者に対し、2ヶ月間、同居している家から退去し、その家の付近をはいかいしてはならないと命じるものです。なお,退去等命令については、上記1ないし4より発令要件が厳格に定められており,配偶者からの①身体に対する暴力又は②生命若しくは身体に対する脅迫(生命・身体に対する脅迫に限定)を受けた被害者が、配偶者からの更なる身体に対する暴力により、その生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときに発令されます。
【令和5年法改正】保護命令はどう変わったか?
DVの実態の変化に対応するため、令和5年にDV防止法が改正され、令和6年4月1日から施行されました。これにより、保護命令制度はさらに拡充・強化されています。
1. 保護命令の対象となる暴力の拡大
これまでの保護命令は、原則として「身体に対する暴力」または「生命等に対する脅迫」があった場合にしか申し立てられませんでした。今回の改正により、これらの暴力に加えて、被害者の自由な意思決定を著しく害する、生命・心身に重大な危害を及ぼすおそれが大きい言動(精神的DV)も、保護命令(ただし,退去等命令を除く)の申立ての根拠となる暴力に含まれることになりました。
具体的には、
などがこれにあたります。
これにより、これまで保護の対象から漏れがちであった、深刻なモラハラ被害者も救済の対象となる道が広がりました。
2. 接近禁止命令の対象行為の拡大
加害者による加害行為の実態を踏まえ、被害者への電話等禁止命令の対象行為に、以下4つが追加されました。
3. 命令の期間の伸長
接近禁止命令等の期間が、従来の6ヶ月から1年間に伸長されました。また、退去等命令の期間は、原則2か月ですが、住居の所有者または賃借人が被害者のみである場合、被害者からの申立てにより6か月とする特例が新設されました。
保護命令を申し立てるための具体的なステップ
保護命令は強力な効力を持つため、その申立てには厳格な手続きが定められています。
ステップ1:事前の相談
これが、申立てを行うための不可欠な前提要件です。保護命令を申し立てるためには、事前に、配偶者暴力相談支援センターまたは警察に、配偶者からの暴力について相談している実績が必要です。これは、第三者機関に相談するほど切迫した状況であることを示すとともに、申立ての濫用を防ぐための要件です。相談した際には、いつ、どこで、誰に相談したかを正確に記録しておきましょう。
ステップ2:地方裁判所への申立て
申立書を作成し、管轄の地方裁判所に提出します。申立書には、申立ての趣旨(どのような命令を求めるか)と、申立ての理由(いつ、どこで、どのような暴力を受けたか、なぜ生命・心身に重大な危害が及ぶおそれが大きいと言えるのか)を具体的に記載する必要があります。
ステップ3:裁判官との面接(審尋)
申立てを行うと、原則としてその日のうちに、裁判官との面接(審尋)が行われます。ここで、申立人は、申立書に記載した事実について、裁判官から直接質問を受け、暴力の事実や身の危険の切迫性を具体的に説明します。この面接は、保護命令が発令されるか否かを左右する、極めて重要な手続きです。
ステップ4:相手方(加害者)の意見聴取
原則として、裁判所は相手方(加害者)を呼び出し、言い分を聞く機会(口頭弁論または審尋)を設けます。ただし、相手方を呼び出すことで被害者の身に危険が及ぶおそれがある場合など、例外的に相手方の意見を聞かずに命令が発令されることもあります。
ステップ5:保護命令の発令
裁判所が、申立てに理由があると判断すれば、保護命令が発令されます。命令の内容は、警察にも通知され、違反があった場合の迅速な対応に備えることになります。
申立てを成功させるための「証拠」の重要性
裁判所が保護命令を発令するためには、申立人の主張が真実であることを裏付ける客観的な証拠が極めて重要です。恐怖の記憶を思い出すのは辛い作業ですが、ご自身の安全を確保するために、意識して証拠を集め、保全しておくことが不可欠です。
◇身体的暴力の証拠:
◇精神的暴力(モラハラ)の証拠:
◇公的機関への相談記録:
これらの証拠を、申立書と共に裁判所に提出することで、主張の信用性が格段に高まります。
保護命令が離婚手続きに与える影響
保護命令の申立ては、離婚そのものを目的とする手続きではありません。しかし、保護命令を得ておくことは、その後の離婚協議や調停・訴訟を有利に進める上で、計り知れないほど大きな意味を持ちます。
一人で耐えずに、相談してください
配偶者からの暴力に苦しんでいるとき、そこから逃げ出すことは、決して「負け」ではありません。それは、あなた自身の命と尊厳、そして未来を守るための、最も勇気ある一歩です。
しかし、その一歩を踏み出すには、法的な知識と、何よりも精神的な支えが必要です。保護命令の申立ては、専門的な手続きであり、ご自身だけで進めるには大きな困難とリスクを伴います。
福永法律事務所は、あなたの安全確保を最優先に考え、保護命令の申立てから、その後の離婚協議、親権・養育費の確保まで、一貫してあなたに寄り添い、代理人として戦います。
法テラスの資力基準を満たされる方は,初回のご相談は無料です。どうか一人で抱え込まず、その苦しい胸の内を、私たちにお聞かせください。
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